トムとジェリーのひよこは誰?アヒル疑惑の真相と公式の名前を徹底解剖
クアッカーが登場する短編群の中でも、シリーズ史上最高の感動作として語り継がれているのが、1955年に公開された『That’s My Mommy(邦題:よき父親)』です。このエピソードでは、孵化した瞬間に目の前にいたトムを母親だと刷り込まれてしまったクアッカーの、どこまでも真っ直ぐな愛が描かれます。
トムは腹を空かせており、クアッカーをローストダックにして食べようと企みます。しかし、幼いクアッカーはトムが料理用の鍋やオーブンに放り込もうとしても、すべて「ママが僕をお風呂に入れてくれている」「遊んでくれている」と疑いません。ジェリーが必死に危険を知らせて救出しようとしても、クアッカーは愛する「ママ」の元へと自ら走って戻ってしまいます。
物語のクライマックス、トムが料理本を開いてクアッカーを煮込もうとした瞬間、クアッカーは本に書かれた「アヒルの詰め物料理」の調理法を偶然理解します。自分がママの夕食になる運命だと悟った小さなアヒルは、逃げるどころか涙を浮かべながらこう告げます。「ママが好きだから、ママのお腹の足しになるよ」。そして自ら進んで煮え湯の鍋へと飛び込もうとするのです。
悪巧みを働いていたトムの心は激しく打ち砕かれます。寸前でクアッカーを抱き上げたトムは号泣し、邪心を捨て去って本物の母親(父親)として生きることを誓います。ラストシーンで、池を泳ぐトムの背中に乗り、誇らしげに寄り添うクアッカーの姿は、冷酷なスラップスティック・ギャグが主体の『トムとジェリー』において異例の温かさを放ち、85年以上愛される理由を雄弁に物語っています。
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