世界一難しい漢字ブームのなぜ?ののちゃんも興味津々な難読漢字の全貌【最新】
SNSやまとめサイトでは、「世界一難しい漢字=たいと(84画)」「漢検1級に合格すれば全部書ける」といった情報が一人歩きしていますが、漢字研究や辞書編纂の専門的な視点から見ると、そこには興味深い「盲点」と「誤解」が隠されています。
誤解①:「たいと(84画)」は古くから伝わる由緒正しい漢字である?
実は、84画の「たいと」は古代の文献から発見された文字ではありません。漢字研究家の笹原宏之氏(早稲田大学教授)らの調査によると、昭和後期に東京・原宿や都内のラーメン店・飲食店の関係者が「自分の名字(あるいは屋号)として、誰も見たことがない画数の文字を作ろう」と考案し、名刺やメニューに印刷したのが発祥とされています。それが当時のテレビ番組や雑学本に「日本の珍しい苗字」として取り上げられ、やがて大型の漢字辞典(『大漢和辞典』の補巻など)にも「実用された記録がある国字」として採録されるに至りました。つまり、現代のミームにも近い「遊び心から生まれた文字」が公式記録になった稀有なケースなのです。
誤解②:「ビャン」や「たいと」は日本漢字能力検定(漢検)1級に出題される?
結論から言うと、漢検1級にも出題されません。漢検1の対象漢字は約6,000字(JIS第1・第2水準漢字がベース)ですが、「ビャン」は中国の地域方言字(俗字)であり、「たいと」もJIS第1・第2水準には含まれていないためです。なお、長年パソコンやスマートフォンでは表示すらできない「機種依存文字の極み」でしたが、2020年3月に発表されたUnicode 13.0において、ついに「𰻞(ビャン)」と「𱁬(たいと)」が国際標準の文字コードとして正式登録されました。これにより、最新のOSを搭載したスマホであれば、コピペしてLINEやSNSに貼り付けることが可能になっています。
【プロの結論】なぜ人は「書けないほど難しい漢字」に惹かれるのか?
デジタル化が進み、手書きの機会が激減した現代において、なぜこれほどまでに「57画」や「84画」の漢字が愛されるのでしょうか。認知心理学やメディア文化の視点から分析すると、そこには「実用性からの解放によるエンターテインメント化」という現象が見て取れます。
私たちが学生時代に苦労した「テストのための漢字暗記」は、減点方式のストレスを伴う作業でした。しかし、「ビャン」や「たいと」は、日常生活で書けなくても誰にも怒られず、人生において何一つ不利益を被りません。一方で、「もしこれをサラサラと黒板やノートに書けたら、クラスや職場で確実にヒーローになれる」という極めて純粋な自己顕示欲と遊び心を満たしてくれます。
- 挑戦をおすすめできる人:お子様と一緒に「漢字ってパズルみたいで面白いね」と知的好奇心を育てたい保護者の方、書道やペン字の集中力を高めたい方、飲み会や学校で鉄板の雑談ネタを持ちたい方。
- 深入りをおすすめできない人:漢検合格や受験対策など「実利的なスコアアップ」を最優先している方(試験には出ないため、勉強時間の投資対効果はゼロに近いです)。