女々しい歌詞が刺さる理由は?邦楽ロックやカルチャーの系譜を徹底追跡
男の未練や弱さを歌う系譜は、決して近年の邦楽ロックに始まった突発的な現象ではありません。昭和の歌謡曲から平成のJ-POP、そして令和のストリーミング時代に至るまで、時代ごとの社会背景やジェンダー観を色濃く反映しながら変遷してきました。
| 時代区分 | 未練・女々しさの表現様式 | 代表的アーティスト・楽曲傾向 |
|---|---|---|
| 昭和(フォーク・歌謡曲) | 酒場での独白、同棲生活のノスタルジー。哀愁とやせ我慢が同居する美学。 | かぐや姫(『神田川』)、井上陽水、演歌全般 |
| 平成(メガヒットJ-POP) | 未練を抱えつつも「感謝」や「相手の幸福祈願」に昇華させる清涼感ある叙情詩。 | 槇原敬之(『もう恋なんてしない』)、Mr.Children、スピッツ |
| 平成末期〜令和(現代ロック・SNS) | 美化を拒否した自己中心性の告白。情けなさや未練を肯定する等身大のエゴイズム。 | My Hair is Bad、クリープハイプ、back number、マカロニえんぴつ |
昭和のフォークソングにおける未練は、貧しさやすれ違いを背景とした「哀愁の物語」として消費されていました。平成に入るとJ-POPは洗練され、ミリオンセラーを記録した槇原敬之の楽曲のように、「強がり」をスパイスにしつつも最終的には前を向く健全なポップスが主流を占めます。
しかし2010年代以降、その反動として登場したのが、back numberやクリープハイプ、そしてMy Hair is Badに連なる「徹底的にダサい本音」をぶちまけるロックでした。SNSの普及によって誰もが表向きはキラキラした姿を演出しなければならない息苦しさの中、音楽の場だけは「引きずり、妬み、情けなく叫ぶ男の真実」をそのまま受け止めてくれる避難所として機能したのです。
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