『また、同じ夢を見ていた』の読書感想文攻略!最優秀賞に学ぶテーマ設定と構成を徹底解説
『また、同じ夢を見ていた』を読み解く上で最大のカギとなるのが、主人公の小柳奈乃花が放課後に訪れる場所で出会う「アバズレさん」「南さん」「おばあちゃん」という3人の女性の正体です。結論から言えば、この3人は全員、成長した未来の小柳奈乃花自身(パラレルワールドにおける異なる未来の姿)です。
なぜ小学生の奈乃花が、未来の自分自身と会話できたのか。それは、当時の奈乃花が学校で孤立し、両親の愛に飢え、無意識のうちに「このまま大人になったらどうなるのか」という強い不安と孤独を抱えていたからです。3人の女性は、奈乃花が人生の岐路で「ある選択」をした結果たどり着く3通りの未来を象徴しています。
| 登場人物 | 正体(未来の分岐ルート) | 象徴するアイテム・伏線 | 彼女が語る「幸せとは」 |
|---|---|---|---|
| 南さん(高校生) | 他者を拒絶し、孤独のまま小説を書く道を選んだものの、強い自己嫌悪で自傷行為に走った10代の奈乃花 | 手首のリストカット痕、ノートに書かれた物語、廃墟の屋上 | 「自分がここにいていいって、認められること」 |
| アバズレさん(20代女性) | 周囲と関わらず心を閉ざして大人になり、身体を売ることでしか他者との繋がりを感じられなくなった20代の奈乃花 | 手首の古い傷跡、紅茶と甘いお菓子、緑色のマンション | 「誰かのために、何かをしてあげられること」 |
| おばあちゃん(老婦人) | 過去の過ちや後悔を乗り越え、大切な人(桐生くん)や家族と温かい人生を歩みきった晩年の奈乃花 | 手作りのプリン、桐生くんが描いた絵、丘の上の一軒家 | 「今、自分が幸せだと気づくこと」 |
作中には、彼女たちが同一人物であることを示す緻密な伏線回収が張り巡らされています。たとえば、南さんの手首にある生々しい傷跡は、アバズレさんの手首にも「古い傷」として残っています。また、おばあちゃんの家に飾られていた絵画は、クラスメイトの桐生くんが描いたものであり、おばあちゃんが振る舞う「プリン」は奈乃花が母親と一緒に作りたかった思い出の味そのものです。
奈乃花が現在の世界(小学生の今)で「桐生くんに謝る」「両親に本音をぶつけて参観日に来てもらう」という行動を起こすごとに、バッドエンドの未来である南さんやアバズレさんは姿を消していきます。つまりタイトルの『また、同じ夢を見ていた』とは、後悔を抱えた未来の奈乃花が「あの時こうしていれば」と繰り返し見ていた過去の夢であり、現在の奈乃花が自らの手で未来を書き換えたことで、悲しい分岐ルートが浄化されたことを意味しているのです。
Tags:
また 同じ 夢 を 見 てい た