旧呉鎮守府司令長官官舎のレトロ美とは?金唐紙の輝きと和洋折衷建築の見どころを徹底解剖
旧呉鎮守府司令長官官舎の最大の特徴は、公的な社交場である「洋館」と、長官とその家族が暮らした生活空間である「和館」が一つの建物として接続されている点にあります。1905(明治38)年の芸予地震で旧官舎が倒壊したことを受け、同年、呉海軍経理部建築科の設計によって再建されました。設計を主導したのは、当時海軍技師として腕を振るった桜井小太郎(のちに丸ノ内ビルヂングなどを設計)の影響を受けた若き技官たちでした。
洋館部分は、急勾配の切妻屋根と外壁の木骨を露出させたハーフティンバー様式を採用。玄関ポーチのステンドグラスから差し込む柔らかな光が、訪れる賓客を荘厳に出迎えました。対照的に、渡り廊下で結ばれた和館は、落ち着いた数寄屋風の座敷飾りが整えられた伝統的な木造建築。襖で仕切られた畳の間、風が吹き抜ける縁側など、プライベートな生活を極上の静寂で包み込む設計となっています。
表向きの「欧米列強と対等に渡り合うための西洋式社交場」と、内向きの「日本人の心に寄り添う住居」。この見事な住み分けと融合こそが、明治期の海軍工兵・技官たちが到達した和洋折衷建築の真髄といえます。
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入 船山 記念 館