新世界国際劇場の閉館ドキュメント!96年の歴史に幕を下ろした終夜上映の全貌【大阪】
新世界国際劇場の構造的な特異点は、1階のメインスクリーン「国際劇場」と、階下に広がる「新世界国際地下劇場」の二面性にありました。地上部がアクションやサスペンスなどの洋画名作を3本立てで回す一方、地下劇場は成人映画を中心としたプログラムで独自のコミュニティを形成していました。薄暗い階段を下りた先に広がる地下空間は、世間の視線から隔絶されたアジール(避難所)として、長年固定のファンを抱えていました。
閉館当日の夜、劇場の前には開場前から異例の長蛇の列が形成されました。最後となる終夜上映(オールナイト興行)を目撃しようと集まったのは、かつてこの場所で夜を明かした白髪の老人たちだけではありません。SNSを通じて劇場の存在を知った20代のシネフィル、映画研究者、そして海外からのバックパッカーなど、多種多様な人々が混ざり合っていました。
館内のスプリングがヘタった布張りの座席に身を沈め、上映開始を待つ観客たち。スクリーンに光が投射された瞬間、自然と拍手が沸き起こりました。休憩時間には、ロビーの灰皿を囲んで見知らぬ客同士が劇場の思い出を語り合い、売店の缶ビールを乾杯する姿が見られました。外の街が観光地化され、串かつチェーン店や射的場に覆われていくなか、この劇場の暗がりの中だけは、半世紀前の新世界の空気がそのまま保存されていたのです。未明、最後の映画のエンドロールが流れ終わると、場内は割れんばかりの歓声とスタンディングオベーションに包まれました。
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